caffeine-de-diary’s blog

趣味のあれこれについてつぶやきます

丸橋充拓『シリーズ中国の歴史② 江南の発展』を読みました。

こんにちは。

コロナが流行っていたり、急に寒くなったりする日が続きます。

住処の風呂は狭いのですが、時々お湯を張って浸かるようにしています。だいぶ温まりますね。寝るまでの心地よさが違います。

 

さて先日に引き続きシリーズを読んでました。これですね。

江南の発展: 南宋まで (岩波新書)

江南の発展: 南宋まで (岩波新書)

 

こちらの著者も前回の著者同様、京都大学で学ばれた方です。最後の方に京都学派の話もちょっとだけ出てきますね。

方針としては、第1巻とさほど変わりません。著者一同と書かれている「はじめに」にあるように、時代論的な区切りではなく、非常に大きな視野で展開されています。

第1巻で古典礼制が成立し、中華王朝が成立するために必要な要素がどのようなものであったのか、ということを踏まえ、第2巻ではいわゆる歴史書には出てこない、一般お人々がどのような考えのもとで行動していたかを述べています。そしてその根幹には江南という中国歴史上重要な地域の特性があるとしています。 

著者はこの時代の人々の繋がりを「幇の関係」と呼んでいます。

王朝の考えはあるけれども、実際の人々の関係は違うよ、とのことだそうです。

改めて確かにそうだなと思ったのは次のことです。

日本にも取り入れられた律令は結局中国ではうまくいきませんでした。そしてそれをなんとか修正しようと様々な税制が試みられるのですが、人々は固定化せず、アウトローが多く出てきてしまします。そしてそのような人々が当時進んだ地域、ここでは江南ですが、そこに出てきて仕事をし、発展をしていくということです。これによって日本の江戸時代に出現した士農工商といった身分固定が起きなかったということは中国の歴史を考える上で重要なことでしょう。特に中国は「文」が尊ばれる国であり、その根幹には古典礼制度があります。いうならば、理想は描くけれども、現実にはうまく行かないことのほうが多い国作りだと言えるのではないでしょうか。逆にそれほどある種行動に縛りがない国作りをしたからこそ、様々な文化を育んだともいえると思います。

よく言われるのが中国には表と裏があるということです。

表では社会に恭順しているように見えますが、現実は違う。そしてその現実に対処するためにどのように協力を仰げる人を作るのかが重要なのかと思います。この本を読んでいると案外考え方が変わらんものだなとも思えてきますね。

 

恥ずかしながらちゃんと中国史を学んだ人間ではないので、なんとも中途半端な理解ですが、非常に面白く読むことができました。次も楽しみです。

また、丸橋先生の文章は非常に読みやすいのもサクサク読めた理由です。渡辺先生の文章で挫折しかかった方も、これは読みやすいと思えるのではないでしょうか。